編集長インタビュー『リンネル』編集長

2010年創刊より、「心地よい暮らしとおしゃれ」をコンセプトに掲げてきた『リンネル』。WEBやYouTube、イベントやコラボ企画など、ますます活発に展開を広げています。

創刊時より編集長を務める西山千香子が、これからのリンネルにかける思いを話します。

リンネル編集長 西山千香子

◆◆リンネルは、創刊当時より30〜40代を中心に全世代をターゲットにしていますよね。

ファッションを扱う女性誌にしてはめずらしいですが、どうしてその設定になったのでしょうか。

「年齢」で区切るより、「好きなもの」で区切るほうが、時代にマッチしてきているなと思ったからです。創刊当時の私は30代後半で、気がつけば年上や年下の友人との、年齢を超えたつき合いが増えていたんですよね。女性の生き方も多様化しているので、歳が近いからといってライフステージが同じとは限らない。

一方で、大人になるにつれ自分の好きなものの軸がわかっていく感覚があったし、ミクシィやブログなどでネットの交流が一般的になったおかげで、趣味を通じて人とつながりやすくなっていました。

好きなものを切り口に人が集まれるし、盛り上がれる時代。そうしたリアルに合わせて「年齢にこだわらない」とした結果、リンネルには10代の読者もいれば60代の読者もいる雑誌に育ちました。

◆◆「ナチュラルなライフスタイルが好き」という共通項で、幅広い層に読まれているんですね。

では、年代を問わないとして、どんな人たちが「リンネル系」といえますか?

着心地のいい服を着たい、手仕事感のあるものが好き、できるだけ天然の素材や環境に優しいものを選びたい、体を冷やさない。そんな風に、「自分の心地よさ」を知っている人たちです。

麻のワンピースやフラットシューズを身につける気持ちよさを知っているような、いろんな締め付けや見られ方から解放されて、リラックスして過ごしたい人たち。さらに最近は、ファッションのスタイルはナチュラルではなくても、暮らしの要素を知りたくて読んでくださる方も増えています。

植物に癒やされる、季節感を大切にしたい、心地よく家を整えたい、発酵料理が好き、お気に入りの器に料理を盛り付けることが楽しい。衣食住の中で思い当たることがひとつでもあったらリンネル系といえます!

◆◆誌面には、そういった暮らしを楽しんでいる「目利きさん」が登場しています。

リンネルの世界観をつくる上で大切な存在かと思うのですが、どんな方々にお願いしているのでしょうか。

リンネルは、「共感」の雑誌なんです。共感8割、憧れ2割の媒体と思っています。読者の人たちは、ブームを追いかけたり周囲の目を気にしたりするよりも、好奇心を持ちつつ自分らしさや自然体を大切にする人たち。

だから登場する目利きさんも、著名人かどうかよりも、暮らしへの関心が高く、自分なりに探求している人、発信力のある人にお声をかけています。

暮らしの雑誌として、読者の人が取り入れられる部分があるかどうかは、すごく大事。そのうえで、私自身は雑誌を読んで育ってきた世代であり、雑誌から得られる憧れのパワーを知っているから、憧れの要素もちゃんと大事にしたいんです。

リンネルに出ている目利きさんはみな、読者が共感も憧れも抱けるような人たち。好きなテイストを貫いてすてきな暮らしをしているだけでなく、必ず生活者としての目線があります。機能的であったり合理的であったり、時短になるか、コスパがいいかなどを工夫している。それこそが、私たちの考える丁寧な暮らしです。

◆◆ふだんから、「編集部やスタッフの人たちの個性に任せて誌面をつくっている」と、話していますよね。リンネル編集部の顔ぶれが聞きたいです。

今の編集部のメンバーは、私を入れて12人。子育て中の人が半分ぐらいで、年齢は20〜50代までいます。いちばん若い部員は29歳だから、50代の私とは親子としても成立しますね(笑)。

みんなおいしいものが大好きで、しょっちゅう何かを食べている編集部です。山登りにハマっている人もいれば、韓国好きでKポップ推しの人もいるし、過去にロックバンドの追っかけをしていたとか、ファッションマニアとか、なかなか追求する人たちです。

みんなすごいなあと思うのは、リンネルではWEBもYouTubeもLINEも、雑誌と同じ編集部で動かしているんですけれど、さらにVoicyも「やってみたい」とか、新しい発信にどんどんトライするところ。創刊当初から定期的に開催しているイベントでも、編集部のドレスコードをつくったりして、自分たちがまず楽しんでいます。

◆◆WEBやYouTube、イベントやメーカーとのコラボといったメディアミックスには、どんなおもしろさがあるのでしょうか。これまでに印象に残っていることとか、ありますか。

まず、コラボは月刊創刊前のムック時代から、積極的に実施しています。純粋にものづくりが楽しいんです。雑誌の世界観を商品として味わってもらえるのがうれしくて、洋服や眼鏡、旅行パッケージ、台所道具なども。編集部員はつねに「こんなものがあったらいいな」と考える習慣がついています。

印象に残っているのは、「カーサリンネル」という家をプロデュースさせていただいたこと。編集部の担当スタッフが、実際にカーサリンネルに暮らしているご家族を取材したのですが、お子さんが「この家に引っ越してきてから、いいことしかないよね」と言ってくれて。リンネルを通して誰かを笑顔にすることができたという喜びがありました。

洋服も、街でリンネルのコラボ服を着ている人を見かけたときは感激しましたね。眼鏡をプロデュースしたときには、発売後にプライベートで自分の眼鏡をつくりにいってみたのですが、売場の人たちが「問い合わせがいっぱいあるんですよ」と喜んでくださっているのが、うれしかったです。

イベントは、創刊してすぐの頃に「リンネルの文化祭をしよう」とはじめました。初回から行列ができたので会場や内容をかえていき、ここ最近は「心地よい暮らしフェスタ」として二子玉川ライズで開催しています。読者の人と実際に会える、貴重な機会です。

◆◆そういえば以前、「高校時代の文化祭でパンフレットづくりをしたときの充実感が、編集者になりたいきっかけのひとつになった」と、話していましたよね。

みんなで盛り上がるのが、好きなんですよね(笑)。出店してくださっている企業さんと読者の人が楽しそうに話していたり、ワークショップでつながったりしているのを見ると、リンネルを介して暮らしの輪が広がっている感じがして、うれしくなりますね。

リンネルの読者は穏やかでやさしい人が多くて、並んでいる商品にも登壇する人たちの言葉にも、興味津々になってくれます。最近はお子さん連れや、ご夫婦でくる方も増えています。

「心地よい暮らしフェスタ2022」に並んだコラボアイテム

◆◆2021年からはじめたWEBやYouTubeは、いかがでしょうか。どんなところに力を入れていますか?

ひとあし先に公開したYouTubeの『リンネル チャンネル』は、登録者数5万人を超えました。力を入れたのは、まさに「リンネルらしさ」です。

見ている人が癒やされるコンテンツであること、イメージは美しく、かつ実用的でもあること。目利きさんに登場していただき、雑誌と同じようなリンネルの世界観を打ち出せたと思います。再生回数がずっと伸びていることからも、繰り返し見てもらえるような、普遍的な内容になっているのではないかと。

WEBサイトの『リンネル.jp』は、これまで丁寧につくってきた雑誌記事のアーカイブを構築しながら、着実にファンを増やしている段階です。ここから、YouTubeのようにリンネルらしいコンテンツを強化していこうと企てているところ。

リンネルの公式LINEは登録者数が160万人を超えていますし、WEBサイトの可能性もすごく感じていて、編集の力を注いでいきたいと思っています。

◆◆リンネルも、時代とともに成長していますね。雑誌の創刊から12年。これから先はどのようなビジョンを持っていますか?

この12年の間に、震災や災害やいろいろな出来事が日本におこって、追い討ちをかけるかのように世界がコロナにおおわれました。そんなに生きやすくはない世の中だったからこそ、自分の身近にある幸せとか、大事な人って誰なんだろうとか、見直すような時代だったのではないかと感じています。

創刊当時のリンネルは「ライフスタイル」をキーワードに誌面づくりをしてきましたが、今、私の中でキーワードになっているのは「セルフケア」です。自分をいたわり、暮らしを整えていくようなマインドが、誌面づくりの幹になる。そこからファッション、住まい、カルチャーなどの枝が伸びていくようなイメージを持っています。

リンネルのこれからとしては、リンネルをひとつの価値観にすることが私の夢です。リンネルという価値観があって、雑誌はそのアウトプットの形のひとつ。そしてこれから、さらにアウトプットの形を増やしていきたいんです。商品づくりやイベントに加え、たとえば学校的なものとか、もっといろんな体験や形に広げていける気がしています。その経験がまた違うものを生み出したり、企画に変化をもたらしたりするでしょうね。

リンネル的価値観を第一次的に表明するのは、あくまで雑誌。帰ってくる場所として雑誌をずっと大切にしながら、リンネルをもっと大きく育てていきたいです。



読者の暮らしに寄り添いながら、時代とともに歩んできたリンネル。2年半ぶりに開催した「心地よい暮らしフェスタ2022」の大盛況にお応えして、2022年11月23日(水・祝)に「リンネルクリスマスマーケット2022」の開催が決まりました。これからも読者とのつながりを大切に、様々に発展していくリンネルにどうかご期待ください。